本ページはプロモーションが含まれています
コンサーティーナの蛇腹を修理;合成皮革製のgusset(マチ)を交換する
当ページのリンクには広告が含まれています。
目次
はじめに
この記事では蛇腹に穴が開いて、空気漏れを起こすコンサティナを修理します。
2010年ごろ、HOHNER のブランドで販売されていた、蛇腹が黒い布テープで、gusset(マチ)が白い部品のコンサーティーナ。
このコンサーティーナは、蛇腹のgusset(マチ)が合成皮革のため、経年劣化で穴が開いて、空気漏れを起こしました。
これまでに空気漏れは4台で起きています。
皆さん
gusset(マチ)って何ですか?
博士
蛇腹の一辺と他の面の蛇腹の谷部分の間をつなぐ部品です。
一般的には革でできています。
蛇腹の一部に菱形のくしゅくしゅした部分がありますよね。
これを修理しました。
HOHNER 48ボタン イングリッシュ・コンサーティーナ ソプラノ(Riveted タイプ)
概要 2010年ごろに、HOHNERブランドのイングリッシュ・コンサーティーナ、48ボタン Treble(ソプラノ)が発売されました。日本での販売は、その後数年で見かけなくなりま…
PLAYTECH(プレイテック)アングロ・コンサーティーナ30ボタン C/G調 PCT200
概要 インターネットで検索すると、同じ外見の Trinity College、PLAYTECHのブランドで扱いがあるようです。 特徴 外見 エンドマホガニー調30ボタン C/G調 Wheatstone配…
ボタンを押さなくても、伸縮できてしまいます。
音もひと伸びで1音しか出せません。
用意するもの
- ヤギ革
- 厚さ 1mm gusset(マチ)用
- 2台目以降は0.5mmに革漉きを依頼
- gusset(マチ)の周囲は漉いていません
- 2台目以降は0.5mmに革漉きを依頼
- 厚さ 0.2mm 蛇腹の山テープ用
- 厚さ 1mm gusset(マチ)用
- bellows paper用の紙 好きな模様の紙、布
- 蛇腹下地用の和紙(土佐典具帖紙) 使わなくてもよいかも
- 接着剤
- サイビノール100 または 木工用ボンド
- アラビックヤマト糊(PVA糊)
- 魚膠(さかなのにかわ溶液[画材])
- 道具
- 革裁ちナイフ
- カッター
- カッターマット 重要
- 定規
- ヒノキ材で作った幅定規
- 作業台
- 太い輪ゴム
- 蛇腹修理用の治具
事前に作った蛇腹修理用の治具
やっと出番が来ました。
コンサーティーナの修理;牛乳パックで蛇腹修理用の治具(道具)を作る
はじめに HOHNER/Trinity College /PLAYTECH などのブランドで販売されている、蛇腹が黒い布テープで、gusset(マチ)が白い部品のコンサーティーナ。このコンサーティー…
悩んだ点
gusset(マチ)、ガムテープに変わる革の材料は??
厚みは??
糊や接着剤には何を使えばよいのか
博士
糊付けできても、密閉される保証はないですね。
とにかくやってみよう。
部品作り
革や紙をを正確な幅に切るのが大変
博士
これが一番億劫で時間がかかっていました。
gusset(マチ)の革が1mmと厚いので、周囲をカミソリで漉きました。
革を指定幅に切る
指定の幅に切るために、ホームセンターでヒノキ材を指定の幅に切ってもらい、幅定規を作りました。
bellows paper 用の紙などを指定幅に切る
bellows paperを切るとき、模様の方向に注意して切りました。
各部品の型紙
型紙は革に無駄が出ず、切断が簡単なように作りました。
bellows paper用の紙を、事前にA4に切ってプリンタで裏側に印刷すれば、楽に切れます。
蛇腹の修理を開始
STEP
エンドを取りはずす
蛇腹からエンドを取りはずし、蛇腹の上下左右、元の位置を蛇腹内に鉛筆で書きこみます。
蛇腹とエンドの間に接着されている、おそらく革のパッキンの穴の取付け位置をメモします。
熱湯で濡らしてパッキンを剥がし、保管します
位置を合わせたメモがないとエンドとの組み合わせで音が出ない不具合が出ました(後述)。
STEP
gusset(マチ)をはがす
gusset(マチ)を熱湯で濡らした布を当てて、はがします。
熱を加えて濡らさないと、固くてはがれません。
このとき、蛇腹の山と山をつないでいる、赤い布、蛇腹の土台の紙も一緒にはがれることがあります。できるだけ剥がさないようにします。
STEP
蛇腹の台紙を修復
蛇腹の台紙が水で濡れたために、所々が剥離したり、剥がれた箇所があります。その部分をアラビックヤマト糊で貼り、治します。
特に蛇腹の谷や頂点部分は、gusset(マチ)の端から水がしみ込んで、下側と上側の台紙が剥離していることがあります。
カッターで頂点や谷部分を切断、アラビックヤマト糊で貼って修正し、一日置きます。
木工用ボンドで貼ると硬化しすぎてしまうので、避けます。
STEP
赤い布と蛇腹の台紙を接着
蛇腹の山と山をつないでいる、赤い布がはがれたり、蛇腹の台紙と隙間があるときは、サイビノール(木工用ボンド)を詰めて接着、クリップで固定して一日置きます。
蛇腹の頂点同士をしっかり接続しないと、蛇腹がへこむので念入りに
仕上げの段階で判明すると涙目です。
STEP
蛇腹の台紙を整地
蛇腹の台紙が荒れているので、土佐典具帳紙を切ってアラビックヤマト糊で貼り、整地して一日置きます。結構きれいに仕上がります。効果があるかはわからず、気休めです。
STEP
gusset(マチ)の革を貼る
切っておいたgusset(マチ)の革を、穴に合わせてサイビノールで接着します。余ったサイビノールは布で拭いながらこすって圧迫します。
輪ゴムで谷部分を止めて一日置きます。
一番肝心な作業です
STEP
気密性を確認
gusset(マチ)の革を貼り終わったら、いったんエンドを取り付けて気密性を確認します。
この時の空気漏れの確認は、本体をくるくる回して頬に空気が感じられたりしなければ合格です(2台修理して、空気漏れはありませんでした。この確認方法は無保証です。)
空気漏れが蛇腹とエンドの隙間であれば、おそらくは問題ありません。
この蛇腹の場合、gusset(マチ)の革、蛇腹とエンドの間のパッキンの革を貼れば、あとの作業は「装飾」です。
エンドと革のパッキンを取り付ければ、音が出るはずです。
ボタンを順番に押して発音します。
このコンサーティーナの場合、一部の音が出ないことがありました。
原因は蛇腹の末端の紙の部品が一部のリードに接触していたことでした。この部品を蛇腹側に少々曲げて調整したところ、音が出ました。
STEP
Bellows Paperを貼る。
bellows paperを薄めた魚膠で貼ります。魚膠で貼ると、後で水を付けて剥がせるらしいです。アラビックヤマト糊でも問題ありません。
- Bellows Paper
- 革テープ
の順番で貼ると、革テープを結局をサイビノールで接着するため、剥がせるかどうかはわかりません。
先にBellows Paperを貼る場合は、Bellows Paperのリボン状の長辺を切るときに少々失敗しても、革テープでとんがった三角形の部分が隠れるので気分的には楽です。
STEP
蛇腹の山側用の革テープを貼る。
サイビノールを刷毛で蛇腹の山に塗り、切っておいた、蛇腹の山側用の革テープを伸ばしつつ、くるくる回しながら接着します。
余ったサイビノールを布で拭いながらこすって圧迫します。
幅の広い部分は、サイビノールをバターナイフで塗りました。
山と山の接続部分で余った革は折り込みます。
一日置きます。
STEP
パッキンの革を貼る。
蛇腹とエンドの間のパッキンの革を、ねじ穴を合わせつつ、アラビックヤマト糊で貼ります。
STEP
手順終わり
エンドを取り付けて完成です。以上が作業手順です。
完成
空気抜きボタンを押さないと、伸縮が難しくなるほど、密閉されました。
音もちゃんと出ます。
成功!!
Concertina
やりましたね