コンサーティーナの蛇腹を修理;合成皮革製のgusset(マチ)を交換する

目次

はじめに

この記事を参考にご自身で同様の作業を行った際の事象は、筆者は一切関知しません。

2010年ごろ、HOHNER のブランドで販売されていた、蛇腹が黒い布テープで、gusset(マチ)が白い部品のコンサーティーナ。
このコンサーティーナは、蛇腹のgusset(マチ)が合成皮革のため、経年劣化で穴が開いて、空気漏れを起こしました。
これまでに空気漏れは4台で起きています。

皆さん

gusset(マチ)って何ですか?

博士

蛇腹の一辺と他の面の蛇腹の谷部分の間をつなぐ部品です。
一般的には革でできています。

蛇腹の一部に菱形のくしゅくしゅした部分がありますよね。
これを修理しました。

ボタンを押さなくても、伸縮できてしまいます。
音もひと伸びで1音しか出せません。

蛇腹が空気漏れしているコンサーティナ

用意するもの

  • ヤギ革
    • 厚さ 1mm gusset(マチ)用
      • 2台目以降は0.5mmに革漉きを依頼
        • gusset(マチ)の周囲は漉いていません
    • 厚さ 0.2mm 蛇腹の山テープ用
  • bellows paper用の紙 好きな模様の紙、布
  • 蛇腹下地用の和紙(土佐典具帖紙) 使わなくてもよいかも
  • 接着剤
    • サイビノール100 または 木工用ボンド
    • アラビックヤマト糊(PVA糊)
    • 魚膠(さかなのにかわ溶液[画材])
  • 道具
    • 革裁ちナイフ
    • カッター
    • カッターマット 重要
    • 定規
    • ヒノキ材で作った幅定規
    • 作業台
    • 太い輪ゴム
    • 蛇腹修理用の治具

事前に作った蛇腹修理用の治具

やっと出番が来ました。

悩んだ点

gusset(マチ)、ガムテープに変わる革の材料は??
厚みは??

糊や接着剤には何を使えばよいのか

博士

糊付けできても、密閉される保証はないですね。

とにかくやってみよう。

部品作り

革や紙をを正確な幅に切るのが大変

博士

これが一番億劫で時間がかかっていました。

gusset(マチ)の革が1mmと厚いので、周囲をカミソリで漉きました。

革を指定幅に切る

指定の幅に切るために、ホームセンターでヒノキ材を指定の幅に切ってもらい、幅定規を作りました。

bellows paper 用の紙などを指定幅に切る

bellows paperを切るとき、模様の方向に注意して切りました。

各部品の型紙

型紙は革に無駄が出ず、切断が簡単なように作りました。
bellows paper用の紙を、事前にA4に切ってプリンタで裏側に印刷すれば、楽に切れます。

蛇腹の修理を開始

STEP
エンドを取りはずす
エンドと革テープの元の位置をメモ

蛇腹からエンドを取りはずし、蛇腹の上下左右、元の位置を蛇腹内に鉛筆で書きこみます。

蛇腹とエンドの間に接着されている、おそらく革のパッキンの穴の取付け位置をメモします。
熱湯で濡らしてパッキンを剥がし、保管します

位置を合わせたメモがないとエンドとの組み合わせで音が出ない不具合が出ました(後述)。

STEP
黒いテープをはがす
蛇腹表面のテープをはがす

蛇腹の周囲を巡っている黒いテープをすべてはがします。要はガムテープですね。これは。

製本テープも似ている。

STEP
gusset(マチ)をはがす
gusset(マチ)をはがす

gusset(マチ)を熱湯で濡らした布を当てて、はがします。
熱を加えて濡らさないと、固くてはがれません。
このとき、蛇腹の山と山をつないでいる、赤い布、蛇腹の土台の紙も一緒にはがれることがあります。できるだけ剥がさないようにします。

蛇腹のgusset(マチ)を剥がす
蛇腹のgusset(マチ)を剥がす
STEP
蛇腹を治具に延ばして固定
蛇腹を治具に固定

蛇腹を牛乳パックの治具に延ばして固定します。この治具を使うことで、蛇腹の作業箇所をくるくる回しながら、作業ができます。

STEP
蛇腹の台紙を修復
蛇腹の台紙を修復

蛇腹の台紙が水で濡れたために、所々が剥離したり、剥がれた箇所があります。その部分をアラビックヤマト糊で貼り、治します。

特に蛇腹の谷や頂点部分は、gusset(マチ)の端から水がしみ込んで、下側と上側の台紙が剥離していることがあります。
カッターで頂点や谷部分を切断、アラビックヤマト糊で貼って修正し、一日置きます。
木工用ボンドで貼ると硬化しすぎてしまうので、避けます。

STEP
赤い布と蛇腹の台紙を接着
赤いテープを接着

蛇腹の山と山をつないでいる、赤い布がはがれたり、蛇腹の台紙と隙間があるときは、サイビノール(木工用ボンド)を詰めて接着、クリップで固定して一日置きます。

蛇腹の頂点同士をしっかり接続しないと、蛇腹がへこむので念入りに
仕上げの段階で判明すると涙目です。

STEP
蛇腹の台紙を整地
土佐典具帖紙とアラビックヤマト糊で蛇腹に貼るところ

蛇腹の台紙が荒れているので、土佐典具帳紙を切ってアラビックヤマト糊で貼り、整地して一日置きます。結構きれいに仕上がります。効果があるかはわからず、気休めです。

STEP
gusset(マチ)の革を貼る
gusset 張り替え

切っておいたgusset(マチ)の革を、穴に合わせてサイビノールで接着します。余ったサイビノールは布で拭いながらこすって圧迫します。
輪ゴムで谷部分を止めて一日置きます。

一番肝心な作業です

STEP
気密性を確認
エンドを仮留めして密閉を確認

gusset(マチ)の革を貼り終わったら、いったんエンドを取り付けて気密性を確認します。

この時の空気漏れの確認は、本体をくるくる回して頬に空気が感じられたりしなければ合格です(2台修理して、空気漏れはありませんでした。この確認方法は無保証です。)
空気漏れが蛇腹とエンドの隙間であれば、おそらくは問題ありません。

この蛇腹の場合、gusset(マチ)の革、蛇腹とエンドの間のパッキンの革を貼れば、あとの作業は「装飾」です。
エンドと革のパッキンを取り付ければ、音が出るはずです。

蛇腹の部品がリードに当たって音が出ないことがある

ボタンを順番に押して発音します。
このコンサーティーナの場合、一部の音が出ないことがありました。

原因は蛇腹の末端の紙の部品が一部のリードに接触していたことでした。この部品を蛇腹側に少々曲げて調整したところ、音が出ました。

STEP
Bellows Paperを貼る。
蛇腹にbellows paperを貼る

bellows paperを薄めた魚膠で貼ります。魚膠で貼ると、後で水を付けて剥がせるらしいです。アラビックヤマト糊でも問題ありません。

革テープとbellows paperをセロテープで仮止め
  1. Bellows Paper
  2. 革テープ

の順番で貼ると、革テープを結局をサイビノールで接着するため、剥がせるかどうかはわかりません。
先にBellows Paperを貼る場合は、Bellows Paperのリボン状の長辺を切るときに少々失敗しても、革テープでとんがった三角形の部分が隠れるので気分的には楽です。

STEP
蛇腹の山側用の革テープを貼る。
革テープを蛇腹にサイビノールで接着

サイビノールを刷毛で蛇腹の山に塗り、切っておいた、蛇腹の山側用の革テープを伸ばしつつ、くるくる回しながら接着します。
余ったサイビノールを布で拭いながらこすって圧迫します。

革テープを蛇腹にサイビノールで接着

幅の広い部分は、サイビノールをバターナイフで塗りました。

革テープを蛇腹にサイビノールで接着

山と山の接続部分で余った革は折り込みます。
一日置きます。

革テープを蛇腹にサイビノールで接着
革テープを蛇腹にサイビノールで接着
STEP
パッキンの革を貼る。
エンドと蛇腹の間にあった革のパッキンを接着

蛇腹とエンドの間のパッキンの革を、ねじ穴を合わせつつ、アラビックヤマト糊で貼ります。

STEP
手順終わり
革テープを蛇腹にサイビノールですべて接着して完成

エンドを取り付けて完成です。以上が作業手順です。

完成

ボタンを押さないと、伸縮が難しくなりました。

音もちゃんと出ます。
成功!!

ボタンを押さないと、蛇腹を開きにくくなった
Concertina

やりましたね

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